鉋のメンテナンス①

 かれこれ25年以上も昔、大工の親方から鉋の調整の仕方を教わりました。その時はしっかり頭に叩き込んで時折それを思い出してはメンテナンスしてきましたが、近ごろの仕上げ材は建材(加工製品)が多く、糊や樹脂で固められた建材を鉋で削ると一発で鉋の刃がボロボロになってしまうため、大まかに調整する程度でした。

 最近になってとある大工さんの影響から少しづつ鉋の調整をしっかりするようになりました。
 例え少々刃が錆びていても鉋の台が曲がり捻じっていても、適切なメンテナンスをしてやればまた元の綺麗に木を削れる鉋になる。ということや、刃を砥ぐときの集中力とか鉋台を妥協無く修正するこだわりとかメンテナンスをする道具を作ったり、一つの道具でしかないのになかなか奥が深いのが『鉋(かんな)』だと思いました

 そこで今回は、そんな私なりの鉋のメンテナンスを掲載し、また将来自分のメンテナンスを見直す時のための記録にしたいと思います。

鉋刃の裏出し

ある方から譲っていただいた複数の鉋の中から一台出してみた。あまり使い込んだ風ではありませんが、錆がでています
まずは本刃の裏をまっ平らにテカテカの鏡面にします。それには画像の分厚い鉄板に裏刃を押し付けながら擦って磨きます。
これがかなりの重労働で、冬場でも汗だくになります(-_-;)
ほぼ裏出しが完了しました。
今回は錆があったのと、裏面に少し捻じれがあったのか?なかなか平らにならなかったので『金剛砂』という研磨材を使ってガシガシ擦りました。

鉋刃研ぎ(荒砥ぎ)

裏出しが済んだので次は表を磨きます。この面も錆が浮いているのと、刃先が小さく欠けているのと、前の所有者の砥ぐ手癖がついているのでそれらを全て修正していきます。
ガシガシ削りたいので、使っている砥石は#400のダイヤモンドシャープナを使っています。
刃先に癖があり斜めになっているので、画像で分かるように片側に偏って砥いでいます。
かなり長時間砥ぎました。
おかげで錆はもちろん、欠けていた部分もすっかり無くなり、健全な状態に戻りましたが、まだ荒砥ぎですから先は長い。

 
譲ってもらった鉋がどんな状態か?クセはあるのか?どこまで錆が侵食しているのか?
によってメンテナンスする時間はまちまちです。

 でも時間に余裕があるときでないと、今回のように切りの良いところまでやって次回に持ち越すことができなくなってしまい、中途半端な所でおわってしまうと次再開する時に分からなくなってしまいます。