真壁模様替えの苦悩

【真壁】とは、和室のように柱や鴨居を出して壁が凹んで奥まっている造りの壁のことです。

その壁の多くは左官屋さんが仕上げた【繊維壁】や【聚楽壁】や【砂壁】や【漆喰】といった塗り壁が多い。

↓画像の玄関ホールの壁も【砂壁】で仕上げてありましたが、長い時間の経過で汚れや焼けカビが目立つようになり、今回模様替えを計画されました。

仕上げの検討

左官仕上げの壁で言われるのは「ボロボロと粉が落ちてくる」とか「隙間風が入って寒い」「汚れても拭けない」「釘やネジが効かない」と、いろいろございます。

そこで今回の模様替えにあたり、「どうしてもというわけではないけれども、そういったデメリットを減らせる、何かご提案はないかしら?」というご相談でした。

最初は塗り壁ですから、左官屋さんの【砂壁】か?
ベニヤを柱と柱の間に切り込んでジュラク調のクロス工事?
のどちらかで提案していました。

しかし、左官屋さんは左官屋さんで一歩も引けないこだわりがあり、
クロス屋さんはクロス屋さんで条件が揃わないと、いい仕事ができない可能性がある。と、
ちゃんとした仕事を提供したいからこその申し出もあり、
お客さん的にも「それほど深刻なことだとは思ってなかった。その上からサッと塗ったり貼ったりできるものだと思っていた」ということで
何が最適か?を探る必要がでてきました。

【真壁】の模様替えは、いくつかやり方があり、どれが正解でどれがダメか。といったハッキリしたものはありません。

最終的に判断したのは
『プリントベニヤを貼る』ことに決まりました。

真壁のプリントベニヤ仕上げ

現状の砂壁がボロボロならないようにローラーで薬を塗ってしっかり乾燥させます。

ボンド+タッカーで下地を留め、仕上げのプリントベニヤも貼っていく。

真壁の場合、現代の様な木下地が無いことがほとんどなので、数少ない貫(ぬき)や柱の横面を利用しプリントベニヤが後々浮いてこないことが大事です。

また、ベニヤを柱や梁の側面に合わせて切ったり削ったりすることもなかなか難しく時間のかかる作業になります。

どうしてプリントベニヤなのか?

これは全て大工工事となりますが、
一番のメリットはボロボロと粉が落ちない事。
次に汚れが付きにくいし、拭ける事。
厚みが少ないので、真壁の雰囲気(和調)を維持できる事。
それとたまたまですが、旧壁と同じような模様のベニヤがあったからというのも、プリントベニヤにしたポイントだったかもしれません。