ブロック塀から木塀へ

背の高いブロック塀。危険かも・・・

ぱっと見、どれがブロック塀か?分かりにくいですね。
木組みの垂木に透明の屋根(ポリカー波板)が乗っているのがブロック塀です。

最初お聞きした時は、
「何がどこが危険なんですか」と不思議でした

しかし、今までの補修の経緯や、よくよく状態を検証していくと、「滅多なことはないけど、そう何年も放置できないくらいの危険は考えられる」と判断いたしました。

高さ2mものブロック塀が倒れてきている

上の全体写真の右下を大きくすると、この写真のように基礎にクラックが入り壁も分かれているのが分かります。

これ、写真に撮れてませんが上の方では4センチほど壁が離れていていました。
雨水が入るといけないということでコーキングをしてもらったそうです。

確かにそれだけ隙間があるとどんどん雨水は侵入する事でしょう。

どうしてこうなるのか?の検証

この塀の中は1帖分の坪庭(白玉砂利と植物)になっていまて、新築当初は坪庭の予定はなく、急遽つくることになったそうです。

先ず1点は、内部の水色のラインくらいの高さまで土が盛ってあった。という点で内側からの土圧が塀を押すのでは?

次に、画像では分かりませんがこのお宅の敷地が高いうえにすぐ横を用水が通っている。という点で地盤が少し下がった=倒れるのでは?

あとは単純に2mもある高いブロック塀。という点で重さで下がる=倒れるのでは?

と、いろんな憶測ではありますが、
だんだん悪くなっていることを考慮すると、
やはりできる時に解体した方がいいのかな?という判断でした。

壊してみたら、懸念していた問題が・・・

他にももっといろんな不安材料がありましたが、ともかく壊してみないと解決の糸口も見つからないので。

「一番怖い、大変そうなものだけ壊してしまいましょう!そうすれば少なくとも隣近所に迷惑がかかる心配はなくなる」というのでブロック塀の解体をしました。

ベニヤで養生してあるのは大きめの窓サッシがあるためです。

壁下地の腐食が判明

この坪庭だった奥は浴室になっていて坪庭と湯舟を大きな窓サッシで仕切っている。
小洒落たプランです。

ただ、窓の下まで土や砂利を盛ってあり、屋内側は湯舟なので、中は結露外は浸水でいつも濡れた状態だったのが、長年気が付かなかったのではないでしょうか?
ふつう、気づきませんよね(-_-;)

ただ、浴室はモルタル+タイル仕上げの浴室なので、せめて窓下まではブロック(外が坪庭でなかったとしても)だと良かったですが・・・。

改良リフォーム

窓下のボロボロを撤去したら木の下地はほぼ無くなってしまったので、ジャッキで補助をしながら根継ぎや窓下の下地を仕替え、後からメンテナンスしやすいように、窯業系のサイディング(釘打ち用)を貼りました。

軽い【木塀】にしました。

基礎の部分を見ていただくと、左官屋さんがモルタルで高さを調整しています。

1mの間で、奥で0(ゼロ)㎜、手前で15㎜。
下がっていたのです。

高さ方向で2mとして換算すると、2mですから15㎜×2倍で30㎜です。
4センチほど隙間ができていたのも納得です。

木塀の完成

昔ながらの懐かしいタイプの木塀にしました。

中は同じように白の玉砂利ですから、和風の木塀もしっくりくるのではないでしょうか。

これで風通しも良くなります。

近い将来、タイルのお風呂からユニットバスに替える時も見据えて、木板を外して解体後の浴槽や瓦礫を排出するにも楽なように算段したナベビスです。

将来を見据えて木板をビス止めに

この木板を留めるのは真鍮釘じゃなくステンレスのナベビスにしました。

近い将来、タイルのお風呂からユニットバスにリフォームする時、木板を外して解体後の浴槽や瓦礫を排出するにも楽なように。

または、出入りできるよう裏木戸を付けたい。ということもあるかもしれない。

という将来を見据えての選択でした。

床ブカ修繕工事

玄関とストリップ階段の廊下床

以前もありましたが、玄関と階段がある廊下の床貼替え工事は、家の人の行き来が頻繁な場所なので、「さあ!工事しよう!貼り替えよう!」ってなかなかならないんですよね。

危険ですので床を捲ったら歩かないで

 床の貼替えがなかなかできないのは、危険だからです。

朝、寝ぼけ眼でドアをあけたら、↑画像のように床板が無くなっていたらどうですか?

恐らく誤ってハマってケガをするでしょうね。

なので私たちも床の貼り替えの時は凄く気を使います。
① 捲る前に行き来できなくなる旨を伝える
② 夜も床の無い状態になる場合は『仮床(かりゆか)』を並べる。
  (コンパネを仮に敷き並べて少しでも歩きやすくする。)
③ 場合によっては引き戸やドアを養生テープで止めて、開かないようにする。
④ 「貼替え」じゃなくて「重ねて貼る」工法でできないか?よく検討する。

捲ってみないと分からない

リフォームの場合、壊したり・捲ったりしてからじゃないと判断できないことが度々ありますね。

画像を見て何か不自然を感じますかね?

これ、階段の受け材が宙に浮いていますね?
本来であれば階段を受ける床板の下に補強の垂木があると良かったのですが。

完成

二坪(フタツボ)ほどなので思ったより終わるのは早かったです。

先ほどの骨組み状態からサッサとベニヤを貼り、フロアータイルを貼りました。
こうすることで工期を短縮できる可能性があります。

フロアータイルの表面もサラサラしていて、水拭き掃除ですぐに汚れをふき取れます。

2024年、今年もよろしくお願いいたします。

新年あけましておめでとうございます。

森谷祐一郎

2023年、ありがとうございました。

時が過ぎるのは早いもので一年一年があっという間です。

今年も多くの人と出会い良い時間を共有できたことは本当に素晴らしい事で貴重な時間でした。

お仕事やプライベートに精一杯向き合うことができ

課題も多く残りましたが、とても素晴らしい一年だったと思っています。

まだまだこれからも素晴らしい出会いを求めて

来年も精進してまいりたいと思います。

来年もよろしくお願い申し上げます。

年末イラストタイポグラフィ07

「撤去処分する」という選択

先週の暴風で不具合が出ているところ見に行く機会がありまして

波板が捲れたり雨樋が外れたり軒裏のベニヤが剥がれていたり。

パターンとしては、

普段あまり気にしていない場所や高所過ぎて部分的な修理では足場をかけるにはもったいなくてなかなか修理に踏み出せない。
といった場所がいよいよ今回の暴風でどうかなってしまったという感じでしょうか。

確かに、部分的に修理するだけで足場をかけるって、何だかお金がもったいないような気がしますね。わかります。

でも、ボロボロになった建材が風に飛ばされてご近所に迷惑が掛かってしまうこともありえますので、早めに対処することをお勧めしています。

また、ご高齢になってご自分でメンテナンスできなくなってしまった。
ということもあります。
そうなったら是非ご自分でするのは止めて、マルセイに頼ってください!

ご自分の健康と近隣の安全を思ってご決断いただきたいと思います。

ただ、その話で気になることあがありました。

ご自分で葺いた小屋の波板が風で煽られて今にも吹き飛んでいきそうだ。とご近所さんにご指摘を受けているが、ご高齢で納戸小屋の屋根のメンテができなくなったということで、急遽かけつけたわけですが

その波板を仮補修しながら「この小屋って必要なのかな?」と。

もしかしてその納戸小屋が今後もどうしても必要ならですが
よく考えたら要らないね。ということであれば

これからもまたメンテナンスが必要になることを考えると
小屋を解体撤去することも選択の一つかな。と思います。

そうすることでその場所に別の使い道がみえてくるかもしれません。

雪を溜めておくこともできるかもしれませんね。

酸性雨で銅板屋根に穴が開く?

早くも12月に入りました。

ついこの間まで「暑い~」って言っていたのに、先週の土曜日には雪の予報があったので慌ててスタッドレスタイヤに履き替えました。

それから毎日のようにミゾレ・アラレ・暴風・雨と、ずっと荒天が続いてますよね。

先日、「銅板屋根に穴が開いてしまったので見てほしい」という依頼がありました。

2階のアルミ製物干し場の脚の所がポッカリと穴が開いていました。

その下は化粧の板(ベニヤ板)はベロベロに腐っていました。

銅板に穴が開くのは酸性雨が原因なのか?

銅板と言えば”酸”に弱いことから、

「今は酸が強い雨(酸性雨)が降るから、直ぐに銅板なんて穴が開くんだ。」

と建築の常識みたいに言われていましたが、どうやらそれはあまり関係が無いということが「山内金属株式会社」様のレポートに書かれていました。

普通の雨が銅板の上を流れるだけなら厚み0.35㎜の銅板に穴が開くまで60年はかかるそうです。

しかし、実際銅板屋根や銅製の雨樋に「ワザと開けてるの?」っていうくらい無数の穴が開いているのはどうしてなのか?

それは雨だれが落ちる場所が極端に穴が開きやすいようです。酸化して錆のような被膜ができても、雨だれが落ちる衝撃でその被膜が取れてしまうそうです。

こちらも「どうして?アルミ物干しの脚元なのか?」

穴の上にある雨樋が途中で切れちゃってますね。

恐らくここからドバドバと雨水が落ちるからでしょう。

ですので、銅板屋根の上に重なる屋根の軒先には必ず軒樋が必要だということが分かりましたし、もしその雨樋が壊れたり詰まったりした場合は早急に修理するか掃除するかしないと、結構早く穴が開いてしまう。ということが分かりました。

しかし、この連日の雨。
早くやんでくれないかな~。

後回しになりがちな玄関、ローカの床貼り。

玄関廊下の床工事がなかなかできない理由

 玄関はお客さんから一番見える所なので一番直したい場所ありながら、家族が頻繁に通ることから工事を後回しにしがちな場所でもあります。

 また、玄関からつながるメイン廊下も、トイレ・洗面所・各部屋・階段に出入りするための主要通路なのでなかなか工事に踏み切れない。

 でもやる時は腹をくくって多少不便でも職人さんと息を合わせてやってしまいましょう。「こんなに安心して歩けるなら、なんでもっと早く決断しなかったんやろ?」って、工事が済んでからそう感じる方多いですよ。

工事前;玄関床
工事後;後付け玄関框

新しい床板を古い床板の上から重ねて貼る

 古い板に重ねて貼ることで床が丈夫になりますし、古い床を剥がさないので産廃も少なくて済むというメリットがあります。

 また、床を捲って貼りかえようとすると床板が無くなるので、ここのようにご家族が頻繁に行き来するような場所の工事だととても危険なのです。
 大工さんがいる間は気を張っていても大工さんが帰った後に床が無くなっていることをうっかり忘れていたり、外に出ているご家族に知らせていなかったりして危険なことがあります。
 (床に仮に合板を敷いたとしても多少隙間ができます)

 なので重ねて床を貼ることができるのであれば、床板貼りが途中になっていても古い床がそのまま残っているので、落ちることはないので安心ですね。

 ただしデメリットとしては、床のレベルや不陸や凹凸を直したり、断熱材を敷き込んだり、床下の構造から直したい場合(床の全体的な浮わつき等)は古い床板を捲る方が仕事が早くなるので、どうせ捲るなら貼り換えた方が良いでしょうね。

 という考え方もできます。

工事前;玄関廊下
工事後;玄関廊下

 床板の貼り方向も大事です。 
 長い廊下に対して直角方向に溝があると、ちょっと違和感(奥行が狭く感じる)が出るかもしれません。

 最近はノンワックス仕様のフロアー材があります。
 ノンワックス仕様のフロアー材に合わないワックスを使うと艶が斑になったりしますので、基本ワックスをかけずモップで乾拭きでいいと思いますし、それで取れなければ硬く絞った雑巾で水拭きする程度にしたほうがいいでしょう。

石綿含有建材調査者(一般)の講習

なかなか言いづらい資格の名前ですね。
先日、この石綿含有建材調査者の講習会受け、無事修了しました。

石綿含有建材調査者(一般)修了証明書

『石綿』という言葉よりも『アスベスト』と言った方が分かりやすいですよね。

2006年からこのアスベストを使った建材は製造禁止となっていますが、問題は既にアスベストが含まれている建材を使った2006年以前の建物はまだまだ存在してますので、これから解体や改修の際は事前に調査・報告が必要になってきます。

ひいてはこれが職人さんや関係者、隣近所さんの健康を守ることにつながると感じています。

床下換気にご注意

福井県は湿度の多い地域

暑いですね~。
福井は海風で湿度も高いので浴室で呼吸しているような感覚の時があります。
風のない時は特にしんどいですよね。

住まいも同じで高温多湿で空気の流れが無いのは家に異常をきたす原因にもなります。
こういう時は『カビやシロアリ』の繁殖も活発なので、こういったのがジリジリと住まいの劣化を進めてしまうので注意が必要な場合があります。

床へのダメージ

近頃特にトラブルが多いのは床下ですね。
夏場の床下は本来、ひんやりと涼しいイメージなんですが最近の高温多湿ぶりは地面を温める威力がすごくて、酷い時はエアコンのかかった部屋の床板の裏側がベタベタに結露することもあるほどです。
それがどう影響するか?

床板が薄い板を張り合わせた「合板」である場合は、湿気で濡れて乾き濡れて乾き。を繰り返すことで、接着材の効果も薄れ張り合わせた板がバラバラになってしまいます。

縁甲板の表層が剥がれている状態


合板がバラバラになる程度ならまだ良くて、シロアリや不朽となってくると床を支える構造にも影響が出てしまいます。つまり修理が大きく広範囲になってしまうということですね。

そうなる遥か前にご自宅でできることはやっておきましょう。

床下の通気

稀に「虫がはいるから」とか「蛇が入る」とせっかくの床下の換気口(孔)を板か何かで塞いでしまうお宅がありますが、床下の通気・換気を止めてしまい、湿気の逃げ場をふさいでしまうことにもなりますのでご注意ください。

近頃の住宅は換気口(孔)が無いタイプもありますし、布基礎ではない束石が基礎なんていう造りのタイプもあり、全てが換気口があるとは限りませんが、床下の通気は一度気にしてみるとよいかもしれません。

ポリカ製の屋根を木造に?

2023年の年始めからの冷え込み

年初からの凍結被害が結構多かったのは、先の記事にも書かせていただきました。
特に今年の落雪は雪が解けて凍り、溶けて凍りを繰り返した重くて硬い雪になって落ちてきたので危険極まりなかったね。といったお話での続きになります。

「凍った雪の塊が落ちてくる」ということに対してお客さんの中では
「雪国やから仕方ないやん。」と腹をくくってしまっている方もいれば
「なんとかしての」と問題解消に乗り出す方も居られます

どちらが良いか?はその規模や状況によって異なりますが
「本当に勘弁してほしい…」
という場合は、何かを我慢して、費用をかけて、時間を作って問題解決に向き合っていただくことも必要かなと思います。

もちろん、譲れない部分やこだわりがある場合は現状を変えるわけにはいきませんので同じ形で復旧する。ことは普通にございます。

直してもまた被害が起こる可能性

「それは建物の外に張り出したアルミ製の物干し用テラス」

これは優れもので、壁・天井(屋根)が透明なので物干しにはもってこいの商品です。なので今も尚人気がありますよ。
ただし設置をする場所によっては、軒先の雪が落ちて屋根にぶつかります。
特に今年のような雪と氷のミルフィーユ状態の塊が落ちてきたらひとたまりもないわけです。

何かを犠牲にしてでも「変える」決断

大げさなタイトルを付けてしまいましたが、
お客さんには、その落雪「頻度」や「危険性」をご理解いただき

「今まで明るかったポリカー屋根を、木造の屋根に変え、明かりは少なくなるけど安全を優先する」方をご提案させてもらいました。

結構慎重に悩まれましたが、木造の鉄板葺きの屋根に変える決断をされました。

ポリカ屋根撤去
屋根裏
木造の屋根に

アルミ製のテラス屋根はあまり雪が屋根に積もる想定はされておらず、常に雪が溶け落ちるような絶妙な勾配になっていますので、アルミの柱や梁にあまり負担はかかりません。

なので今回、木造の屋根にするについても雪がすんなりと流れ落ちる角度をつけるようにしました。もちろん雪止めは付けません。あまり雪が積もると重みでアルミの梁がたわんでガラスが割れないとも限りません。

結果としては結構背の高い物干しテラスでしたので、壁からの日差しで十分明るさが採れていて、丈夫になり、今後はポリカ屋根の落雪被害から解放されるということで喜んでいただけました。
あと意匠的にも「木の雰囲気が良い」と気に入っていただけたようです。