全国的に見ても空き家が多くなっている昨今ではありますが
空き家をどう維持管理するか。今、それが問題になることが多いようです。
その選択肢のひとつとして『解体』がございます。
私は建築を建てる・維持するの他にも建物を適正に解体することも重要な任務だと感じております。
解体は危険が伴います。
また、ご近所の協力や理解が必要です。
適正な価格も知っておくべきですし、
解体後の土地の利用なども視野に入れた計画が必要だと感じているからです。
また、環境保全の見地からすると、建築は環境の保持に大きな影響を与えることが分かってきました。木材の生産から廃棄・リサイクル。建材の分別処分。
皆がみんないい加減な処分をしていたら環境は一向に良くなりません。
建築に携わる者として、しっかりと家の最後を看取ってあげるのも私の役目と感じているのです(勝手にですけど)
解体の準備
簡単に解体と言っても、ご自分名義の家を解体する機会など
なかなかありませんから、何から手を付けたらよいのか迷ってしまいますよね。
なので今回、あくまで一つのケースから手順を記したいと思います。
解体の依頼主様はご両親からご実家(土地と建物)を譲り受けて
時が経ち、建物内部・外部共に傷みが激しくなってきて
・維持するには負担が大きくなってきている。
・空き家があるとご近所に迷惑がかからないか心配。
・地域の防犯にも良くない。
このようなことから解体を検討されました。
しかし、両親が生活していたままの状態で
生活の物が何から何まで残っている。
まず何をすべきなのか?
まず、片付け。
これは解体費に大きく響く場合があります。いや、響くでしょう。
家財・家具・機材・日用品・生活ごみがある状態とそれらがスッキリ無い状態では当然費用に差が出ます。
残念ながら昨今のゴミ処理事情はリサイクル法施行以来、どんどん厳しくなっております。
そのポイントは。。。
【業者が業務上出したゴミは、いくら一般ゴミであっても産廃とみなされる】
であります。これはものすごく重要です。
つまり、家財・家具・日用品・家庭ゴミまで解体工事にひっくるめてしまうと、
全部産廃扱いになってしまうわけです。
地域の収集に出せばタダなのに、業者料金がかかってしまう。
それなら。。。
① ちょっと時間がかかっても地域のゴミ収集日や粗大ごみに出す。
② もしくは自分で車に積んでゴミ処理場へ直接持っていく。
この2点が効率的と思います。
尚、分別は参考までに下図をご覧ください。
(画像をクリックすると大きく表示されます。)
申請
解体しますよ!っていう申請書を作成します。手続き自体は業者がしているのがほとんどで、依頼主さんは署名・捺印くらいですかね。
お祓い
お仏壇や神棚のお精抜き・移設・処分。
場合によっては便所の便壺を汲み取り・清掃後に便所を浄化する意味でお祓いすることもあります。
井戸のお祓いなどもあるようです。
ライフライン
解体直前には電気や電話回線等の解約、トイレの便槽の清掃を済ませましょう。
水道は解体時に水を撒きます(粉塵の散布を抑えるため)ので、解体後の手続きで良いと思います。
便槽の掃除を怠ると、解体後更地になった後に糞便臭が辺りに立ち込めるのでちゃんとしておくことをお勧めいたします。
ご近所あいさつ
解体が始まると少なくともご近所に迷惑がかかりますので、近々解体する旨をご近所にお伝えしておきます。
・大きな重機の出入り(場所によっては交通規制等あるかもしれませんね)
・解体に駆け付ける人夫さんの駐車
・粉塵や騒音
こちらの施主様は前面道路が狭いので。と
区長さんに公民館の駐車場を使わせてもらう許可をもらっていました。
トラブル回避の詰め
解体でのトラブルはどこまでやるか?のライン引きをしっかりして、書面で明らかにしてもらう事ですかね。
・ 離れはや蔵は残すのか残さないのか?
・ 解体後、砂利や赤土を敷いて整地するのかしないのか?
・ 周りの木々・植物は刈るのか?
・ ブロック塀やフェンスなど
「え~。これ入ってなかったの?」とか「これは残してって言ったじゃん」っていうのが無いよう、決定権のある人が打合せ立ち合いと書面の確認をすると良いと思います。
そして、地中に埋まっている物が分かっているようであれば前もって業者に言っておくと良いと思います。(ま、ほとんどの方が地中の埋設物のことなど知りませんが)
最近問題になった学園施設でも埋設物の処理問題ありましたね。
地中から有害物質や解体困難な物体が出てくるなんて、見ただけではわかりませんからね。